クサガメを飼ってみようかなと思ってみたりはするものの、実際のところどんな生き物なのか、いまひとつイメージが掴めないでいませんか?
ペットとして一定のポジションにはいるものの、イヌやネコに比べるとまだまだリアルなカメの姿を伝える情報は少ないように思います。
そこで「クサガメってどうよ」という方に向けてこのブログを立ち上げました。
飼育歴20年の私が豊富なエピソードを交えながら、ペットとしてのクサガメの魅力をお伝えしていきます。
飼った人でないと分からない意外な素顔が満載の動物です。
ぜひ最後までお読みください。
クサガメがペットとしておすすめの理由5つ
クサガメは実際に飼育してみると初心者にもとても飼いやすく、また一般的なイメージよりもずっと人懐こい生き物であることが分かります。それがあまり知られていないのはもったいないので、ここではクサガメのペットとしての魅力を5つのポイントを挙げて解説していきます。
1.経済的
イヌやネコは予防注射や避妊、餌代などわりとバカにならないお金がかかるものですが、クサガメはその点とても経済的です。最初に揃える必要のあるものは以下の4点くらいのものです。
- 水槽
- 砂利
- 濾過器
- バスキングライト
*バスキングライト=爬虫類の保温用電球として特別に設計された白熱電球。日当たりのいい場所に水槽を置くのであれば必要ありません。
初期費用としては、これらを一通り揃えても1万円あればお釣りがきます。
餌代といってもしれています。代表的なカメの餌としてテトラ社の「レプトミン」を例に挙げますと、平均的な大人のクサガメで、食欲旺盛の夏の時期でも1つ1260円のボトルで2ヶ月は持ちます。
1日あたり約20円ほどの計算ですが、冬の時期は食欲も落ちるので消費量はもっと減ります。
2.場所をとらない
水槽一つでクサガメは満足に生きています。適度に動き回れる広ささえあれば文句は言いません。逆に考えればクサガメにとっては水槽内が世界の全てです。場所をとらないとはいえ、窮屈にならないサイズの水槽を選んであげましょう。
3.生命力が強い
どんなに魅力的なペットでも、あまり繊細でかよわい動物は何かと大変ですよね。そのてんクサガメは生命力が強く、例えば少しの温度差でも弱ってしまう金魚なんかと比べても圧倒的に飼いやすいです。
個体差は当然ありますが、わたし自身はカメを病院に連れて行ったことは一度もありません。
4.おとなしい
クサガメはお腹がすいても発情しても声を上げて鳴くことはありません。ですので人間の生活が乱されるようなことは基本ありませんし、近所迷惑のようなトラブルとも無縁で一緒に暮らすことができます。
アパートなどの集合住宅で声の出る動物は禁止されているといった場合でも、カメなら心配は不要です。ただし、湿気の問題で水を張って育てる生き物は禁止など、住居によって条件は様々にあるので、事前に十分に調べておきましょう。
5.アレルギーと無縁
イヌやネコは大好きだけどアレルギーがあるので飼えない、というのはわりとよくある話です。鼻水やくしゃみやにはじまり、気管支炎や喘息を引き起こす場合もあります。
しかし「クサガメが好きだけど近くにいると喘息がでる」というようなアレルギー関連の話は聞いたことがありません。サルモネラ菌に注意する、などということはありますが、菌は動物全般にいえる話です。
クサガメの知られざる世界
次はクサガメにまつわる7つのエピソードをご紹介したいと思います。
飼い主だからこそわかるクサガメの意外な生態を伝えるものばかりです。
まだ「クサガメってどうよ?」と思っている方、どうぞ最後までお読みください。
プロローグ
一般にカメは頭がいい、というイメージはないでしょう。むしろどちらかといえば鈍感なイメージがあるかもしれません。
イソップ童話でもカメはのんびり屋として書かれていて、おそらく聡明なカメが主役の話など皆無ではないでしょうか。
しかしちょっと考えてみてください。
甲羅を背負ったこの独特な姿は2億年以上も前から変わっていない、という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。考えてみるとこれはとんでもない話です。
色んな生物が試行錯誤を繰り返し、誤った選択をして命を落としたりしている中で、ほんの子供の頃に「一生食いっぱぐれない天職を見つけた」ようなものですよね。
呑気な顔をしてなかなか侮れない奴、カメとはそういった意外性をたくさん秘めた生き物なのです。
ではそんなカメの意外なエピソードを順に見ていきましょう。
エピソード01 (クサガメの欠伸)
クサガメも眠い時はふぁっと欠伸するんですよと言うと、たいてい「またまた」というふうなリアクションが返ってきます。しかしながらこれは本当で、眠りにおちる前にはたいてい欠伸をしてから夢の世界に入っていきます。
イヌやネコのほうが人間にとっては共感できる事が多いですが、欠伸の瞬間を見た日にはクサガメがとっても身近な生き物に思えること請け合いです。
エピソード02 (クサガメは小心)
芝生のある近所の公園にクサガメを連れて行った時のこと。芝生の上に放し、離れて見守ろうと少し遠ざかりました。すると芝生の上をノコノコと歩いてわたしの方へ向かってくるではありませんか。
遂にはわたしの両足の間に体をうづめて動かなくなってしまいました。
呑気な顔をしているかと思えば、意外なほどの小心さを見せたりする、その絶妙なアンバランスさにあなたも心をくすぐられるかもしれません。
エピソード03 (石橋を叩くひまがあれば突っ走る)
庭に放してみたり高いところに持ち上げてみたり、そういった普段とはちがった環境に置かれたときのクサガメの行動は一目に値するものがあります。普段の小心さはどこへやら、後先を考えないとんでもない行動に出ます。
「石橋を叩けば渡れない」という逆説的で有名な言葉がありますが、クサガメはこれを地で行く生き物です。
一旦行くと決めたら一歩先に地面があろうとなかろうと、クサガメにとっては知ったことではありません。前身あるのみです。
空中高く掲げられている? だからどうした、と言わんばかりに激しくもがいて両手からすり抜けようとします。
知らずに計算高く生きている自分と比べ「なんと気高い生き様か」と思ったりすると同時に、クサガメの生存本能はいったいどうなっているのだろうかと思うこともあります。
落ちて甲羅が割れでもしたら一大事です。飼い主はこうした無鉄砲な気質を知った上で、十分に注意して飼育しなければいけません。
エピソード04 (クサガメのしきたり)
クサガメは半水棲の生き物なので、気ままに陸に上がってみたり水に潜ってみたりして過ごします。眠る時もまったく気まぐれで、時には陸で、時には水中で眠ります。
しかしそんなクサガメにも一つだけ厳然と決まっているルールがあり、それは水を飲むときは陸に上がって飲む、というもの。
水中にいるときにそのまま口を開けて飲めば済みそうなものを、決してそうはしません。喉が乾くと陸に上がり、首を伸ばして水中に顔を突っ込むとコクンコクンと飲み始めます。
餌をがっついているときと同じ動物とは思えない、礼儀正しい生き物と化します。
エピソード05 (食事に手など不要論)
自らが暴れまくって発生させた水流によって、餌が漂流したあげくに陸の石と水槽の壁の隙間なんかに入り込んでしまうことがあります。
ほんのちょっと手を伸ばせば楽に餌を掻き出せるはずなのですが、やはり頭は良くないのか、決して手を使うことはありません。あくまで首を伸ばしてトライを繰り返します。
大抵はそのまま食べることができずに諦めるのがクサガメの常。
死ぬかどうかの瀬戸際でもやっぱり手は使わないのか、知りたいものです。
エピソード06 (住めば都、は人間の話)
陸地に人工芝生を敷いてやったことがあるのですが、何かが気に食わなかったらしく、人工芝生を撤去するまで水の中に入りっぱなし、ということがありました。
また陸地に土を張ってやったこともありました。それは夏の時期で、庭に大きなタライを置いてその中で飼っていた時の話です。最初から気に入った様子はなかったのですが、ある日タライを見てみると、なんとクサガメの姿がありません。
余程いやだったのでしょう、タライの高い壁を乗り越え、蓋を押し上げ、見事脱獄を成し遂げていたのでした。幸いにもお隣さんの庭でじっとうずくまっているところを発見して事なきを得ましたが。
クサガメもなついてくると人間のような親近感を覚える仕草がたくさんありますが、「住めば都」なんて言葉はクサガメには無縁のようです。
エピソード07 (カメはのんびり屋?)
カメといえばのんびり屋、これが一般的なイメージでしょう。それはおそらくカメと身近に接したことのない人が広めた噂であろうと思われます。
昼夜を問わず気持ちがよければ何時間でも眠っていますが、これはネコも同じです。しかし空腹時の暴れ方はネコの比ではありません。獰猛な野生動物の姿をあらわにし、両手両足で猛スピードのバタ足を繰り広げます。
これがもし広い池の中であればゆうに対岸まで泳いでいるだろうというくらいに、餌をもらえるまで高速バタ足を続けます。
エピローグ
ここに挙げたエピソードはほんの一例に過ぎません。産卵時期の話や冬眠時期の話など、本当に?と驚くような意外な生態はまだまだありますので、随時公開していきたいと思います。
飼育にあたって気をつけたいこと
クサガメの魅力について現実的な面から、そして性格的な面からその魅力をみてきましたが、ここでは飼育にあたっての注意事項もいくつか見ておきましょう。
寡黙
クサガメは辛いことがあってもイヌネコのように鳴いて訴えたりはしません。クサガメには声帯がないから鳴くことはできないのです。
獰猛なバタ足パフォーマンスで空腹をアピールすることはありますが、一方で体調が悪いときにそれを訴えるすべは持っていません。
そのぶん飼い主はしっかりと気にかけて面倒をみてやりましょう。
無鉄砲
基本的には穏やかで小心でさえありますが、一方で無鉄砲な一面を持ち合わせていることを忘れてはいけません。
イヌやネコが自ら大怪我したり命を落としたりする行動に出ることはまずありませんが、クサガメは一歩先が奈落であろうと行きたければ突進していきます。
自由行動をさせる時なんかには十分注意して見ていることが大切です。
長寿
もちろんこれは素晴らしい長所です。それと同時にペットとして飼う場合は相応の覚悟が必要です。
クサガメの寿命に関しては20年〜25年くらいと言われたり、あるいは40年以上生きると言われたりと、色んな説があり定まっていません。
しかしイヌやネコより長生きであることは間違いありません。飼うからには最後までしっかりと面倒を見ましょう。
愛情を持って世話をしてやれば、大きな安らぎをあなたに与えてくれる立派なペットになること請け合いです。
おしまいに
世に”和み系” という言葉があります。わたしにとって和み系のペットといえば「クサガメ」ですが、そう言うと大抵は一笑 に 付されてしまいます。
わかっとらんな、とうそぶいてみてもクサガメの認知度が上がるわけじゃありません。それならば、と一念発起して書き始めたのがこのブログです。
読み始める前と比べて、少しでもクサガメを魅力的に思ってもらえていれば幸いです。
そしてクサガメがもはやイヌやネコのようにあなたにとって身近な存在に思えたなら、あとは行動を起こすのみ。
驚きと和みに満ちた「クサガメのいる生活」を手に入れてみてください!
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